タイフンインタビューその3
2003年度、その2。
エスパニョルへ新天地を求めて旅立つ兄さん…
ラ・レアルへの思いは強く深く…
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2003-06-14
優勝の行方を占う大一番セルタ戦を前に
昨日(6/13)、エスパニョルとの契約が合意に達した。
「でも6/30までは僕はラ・レアルの一員だからね。ラ・レアルでリーグを制覇出来たらすごい嬉しいよ。優勝に向けて気持ちの全てを集中させたい」

この一週間、タイフンはエスパニョルとの契約交渉とリーグ戦とで慌しい日々を送っていた。
「別にその影響は何もないよ。サッカーの世界じゃ物事は急激に変化するからね。このチームを去る前に優勝したいと心の底から思ってるよ。今週(セルタ戦で)決められればいいけど、もしもダメでも次の週がある。マジョルカ戦に勝てたことで、チャンピオンへの道がはっきり見えたと思う」

「クラブと町の人たちには、これまでスゴク世話になってきた。彼らのためにも、この1年チームのために、頑張ってきたつもりだよ。残っている2試合でも、チームの力になりたい。これまで、2得点あげたんだけど、もっと得点したいよ」

彼の姿は多くのファンの心に深く刻まれている。
「僕だって、ここでのことを思い出してこれから寂しくなると思うよ。だけど、これがプロの世界だからね。行かなくちゃならない時もある。そして、人生の新しい扉を開くんだ。リーグに優勝できたら、僕も何かファンのために貢献できたっていう実感が得られると思う。それに、優勝したらきっと皆、僕のことを忘れないでいてくれるだろ?」

優勝を争うチームであれば、プレッシャーを感じるのは当たり前のことだと、タイフンは思っている。
「勝ち点1の差だから、プレッシャーはあるよ。だけど、それで神経質になってるわけじゃない。皆とても冷静だよ。優勝できない可能性も確かにある。それでも、誰一人として僕達が優勝争いを演じることになるなんて、想像もしていなかったんだから、上出来だよ」

ビーゴでの勝利にはファンのサポートが大きな力となるだろう。
「サポーターたちもカーサと同じように、フエラでの応援が大切だってことが判ってるんだ。彼らの声援と、自分達の実力で、この試合に勝てると思うよ」
「バライードスは嫌な会場なんだよね。いつも何か、事件が起こるんだ。セルタは強いチームだけど、僕達は自分達のプレイが出来れば勝てる。それに、自分たちらしさが出せなかったときでも、僕達は勝ってる。例え、シーズンで一番ひどい試合内容になったとしても、それはもうたいした問題じゃない。勝つことが出来さえすればいいんだ。メディアがどう評価しようと、もう気にしないよ」
「僕達は、優勝するにふさわしいチームだと思う。“もし勝てたら”なんて話はしたくない。だって“もしも”じゃなくて、必ず僕達は勝つんだから。ギプスコア中が盛り上がってくれるといいね」

「チームが苦しかった時期も、選手たちは気持ちをあわせて乗り越えてきた。その団結力が僕達の窮地を救ってくれたんだと思う。そうやって今、僕達はここまでたどり着けたんだ」
el Mundo Deportivo
2003-06-19
いよいよラ・レアルでの最後の試合が近づく…
-日曜日(セルタ戦)の後、どんな気持ちでいますか?
「とても悲しいよ。すごく大事な試合だったんだ。リーガに優勝するための2度目のチャンスを逃してしまった。最初のチャンス、バレンシア戦のときも上手くいかなかった。まだ、僕達に可能性が残されてはいるけど、自分の力では優勝できなくなってしまった。でも、希望は常に持ちつづけないと。これはサッカーなんだから。大事なことは自分達の試合に集中することだ。その結果、いい知らせが届くかもしれない」

-どのような結果になるにせよ、今シーズンのラ・レアルは文句のない成績を残せました。一体、その快進撃の鍵はなんだったんでしょう?
「リーグの最終戦まで優勝争いが演じられるなんて、このチームからすれば、大変な出来事だよね。僕の考えでは、この成功の鍵は2人のFWに有ると思う。2人で40得点以上もあげてるんだ。これは凄いことだよ。得点ランキングを見渡してみても、チームの最高得点者が15点かそこらしかあげていないチームもある。ウチのFWは2人合わせて40点を越えてるんだよ。とんでもないことだよ!」

-それ以外にも、何か要因はありますか?
「あるよ。それはロッカールーム。僕がラ・レアルに加わった頃、選手たちが分裂している、あるいは選手間に派閥があるというような噂があったんだ。でも、僕自身に関して言うと、ラ・レアルでは自分が外国人であることを一度も意識したことなかったんだけどね。僕の最初の2年間、チームはとても困難な状況にあった。だけど、そうした危機的な状況を乗り越えることが出来たのは、僕達が結束できたからなんだ。2部落ちが現実のこととして目の前に迫ってきていた時期もある。だけど、僕達はそこから抜け出した。選手たちの気持ちがバラバラだったとしたら、とても乗り越えられなかったと思う。僕達外国人選手って言うのは、チームに早く馴染まないといけないものなんだけど、もしも、選手たちが進んで僕達を受け入れてくれれば、とてもスムーズに溶け込むことが出来るんだよ」

-しかし、個人的には思うようにいかなかったシーズンだったので、がっかりしているんじゃないですか?
「その通りだね。チームの好調さは嬉しいけど、個人的には残念な年だった。ここ最近の試合でも長い時間ピッチに立つことが出来ないでいるし。フィールドに出れなければ、チームの一員として、自分の力を発揮することは出来ないんだ。自分が戦力として当てにされていないという事実に、楽しい気持ちはしない。するわけがないよね」

-この2年間、怪我をしていたときでさえ、チームのためにプレイを続けた貴方が、今年は実質戦力外の扱いを受けている。一体何が起こったんでしょう…。
「いい質問だけど、答えるのは難しいね。ただ、一つ言えることは、僕自身は何も変わっていないんだ。前シーズン、前々シーズンの僕と何も変わってない。試合に起用されれば、以前と変わらないプレイが出来ていたと思う。確かに、調整は難しかったし、自分に自信が持ちづらくなってるとは思う。判断するのは監督やスタッフだ。昨年、ヴァレリーを獲得しようと思ったのも、クラブ側の判断だった。それ以上は僕には何も言えないよ。ただ、繰り返すけど、僕自身は変わってないんだ」

-プロになって初めて、1シーズンを通して控え選手として過ごしたわけですが、辛かったですか?
「この状況を浮け入れるのは、難しかったよ。たくさんの人たちから、ベンチにいてもいろんな経験ができるって言われるんだけど…。こんな経験なら、しない方がいいと思う。僕だって判ってるんだ。どんな選手にも、いつか必ずそのキャリアの途中でこうした時期が訪れるものだって。だけど、それは慰めにはならないんだ。少なくとも僕にとっては…」

-来シーズンはエスパニョルに移るわけですが…。
「このチームにいても、なかなか僕には幸運が巡ってこないように感じたんだ。試合に出れる機会が減ってるからね。試合に出ることが何よりも僕には大事なんだ。僕はもう29歳で、これまで続けてプレイしてきた。さらに僕は外国人だ。ピッチに立てないまま2年間も過ごすことは出来ないんだ」

-クラブが契約を延長しないと聞いて、驚きましたか?
「いや。クラブ側にはクラブの描く将来のビジョンがあって、僕はそれに含まれていないんだ。それが全てだよ。何度も言うけど、試合に出れないのなら、僕はその事態を変えないといけなかったんだ」

-金銭的な問題でここを去るというのは本当ですか?
「誰が一体どんな目的で、そんなことを言ったのか知らないけど、それは正しくないよ。お金のことを問題にするのは好きじゃない。はっきりしている。僕のことを少しでも知ってる人ならば、僕がお金のために動くなんて有り得ないってことを判ってくれてるよ。もしも、お金が目的ならば、今ごろトルコに行ってるよ。そっちの方が多く稼げるんだから」

-それではエスパニョルを選んだ理由は?
「一つだけ僕に言えるのは、1年間試合に出れない日が続いて、今僕が望んでいるのは、自分の能力を発揮したいってこと。試合に出ないまま、リーガを去りたくない。クレメンテは僕を必要としてくれた。自分が期待されているのが判る。それが一番大切なことなんだ」

-心にわだかまりを残したまま、ここを去ることになりますね。
「確かにそうだね。ここを去ることは辛いよ。ただ、エスパニョルに行くことには大きな希望を持ってる。自分のモチベーションも高まってるよ。エスパニョルが僕に強い関心を示してくれたことは、僕に大きな自信を与えてくれた。バルセロナでは上手くやっていけると思うよ」

-ラ・レアルから再契約の話はあったんですか?
「僕の口から言えることは、確かに話し合いはあった。だけど、交渉はすぐに決裂してしまったんだ」

-ラ・レアルを去る日が来ることを想像していましたか?
「ない、ない、ない!!一度たりともそんな考え、頭を過ぎったことすらなかったよ。むしろ逆に、僕は将来ずっとここで過ごすんだって思ってた。サン・セバスティアンで一生暮らすつもりだったのに、すっかり予定が変わってしまったね。決断を下すのはとても辛かったし、たくさん悩んだよ。でも、これが自分の将来にとって最上の選択だったと信じてる」

-今度の日曜日、ラ・レアルでの最後の試合です。何分間かでも、ピッチの上に立ちたいですね。
「そうだね…。もちろん、フィールドの上からみんなにさよならを言えたら最高だけど、それは、自分の力を必要とされた結果としてピッチに立てたらいいと思う。自分の力を生かせる、ラ・レアルを助けることが出来る、それが僕にとって重要なんだ。毎回フィールドに立つと、ファンの声援を感じる。心に伝わってくる。上手く言葉では表現できないんだけど。最後の試合に出場できたらいいとは思う。でもそれは、さよならの挨拶を言うためじゃなくて、ラ・レアルを助けるために出たい。僕の個人的なプライドの問題なんだ。それに、ファンの皆には、いったん試合が終わったら、いくらでもさよならを言うことが出来るよ。まずは、チャンピオンにならないとね。タイトルを手に、お別れを言えればいいね」

-どんな言葉をファンに伝えたいですか?
「僕に何が出来る?この3年間で僕が皆から受け取ったものに、何かお礼を返したいと思っていても、『ありがとう』と言うことくらいしか出来ないよ。レアル・ソシエダで3年間プレイできたことを、僕はとても誇りに思ってる。この素晴らしい人たちと、この美しい町で暮らすことで来て良かったと、心の底から思ってる」

-今度ラ・レアルと対戦する時には、ゴールを決めたりしないで下さいね。
「うーん、きっとすごく不思議な感じがするんだろうね。だけど、チャンスがあれば狙っていくよ!僕はプロだし、自分のチームのために戦わないと。僕にゴールを決めて欲しくないなんてこと、言うだけ無駄だよ!」

-…。
「少なくとも、ユニフォームの色は変わらないよ(笑)。青と白のままだ」

-この町に移ってきて、どんなことに一番驚きを覚えましたか?
「暮らし全般。フィールドの中と外で、多くのことを学んだよ。新しい文化を知ることが出来て、人間的にすごく豊かになれたと思う。そのことは、この先の僕の人生に役立ってくれるはずだよ。例えば、この町の人たちは、トルコの人々よりもずっと落ち着いていて、親切なんだ。これは強調しておきたんだけど、本当に僕は自分が外国人であることを忘れていられたんだ。クラブも、僕が何か困っていた時には助けになってくれた。昨年は僕にとって、いろんなことが上手く行かない年だった。それでも、ラ・レアルも町の人たちも、ギプスコアの本質の部分は何も変わらなかった。いつも支えてもらっているのを感じていた。成功しているときには、たくさんの友人が身の回りにいるものだよね。だけど、苦しかった去年、皆は変わらず僕のことを助けてくれたんだ」

-この町にいるたくさんの友人たちとも離れてしまいますね。
「友達はたくさんいるよ。だけど、彼らともう二度と会えなくなるわけじゃない。そんな遠いところに行くんじゃないからね。彼らとは連絡を取り続けるよ。もちろん、クラブともね」

-タイフンがラ・レアルに戻ってくる可能性はあるんでしょうか?
「(微笑)僕は29歳なんだよ。だけど、何が起こるのか判らないのが人生だ。5年間、フェネルバフチェにいて、3年間、ラ・レアルで過ごした。先週、フェネルが僕と契約したいって言ってきたんだ。戻ることも出来たけど、自分で考えて、さっきも説明したように、エスパニョルに決めたんだ。2年間の契約を結んだばかりだから、その先のことは今はまだ考えられないよ。早く自分のサッカーを取り戻したいんだ」

-ニハトについてどう思ってますか?
「驚異的だね!僕が彼を手助けしたって?そんなたいした事はしてないよ。ただ、彼がここに来たとき、たくさん話をしたんだ。色んなことについて話をしたよ。ニハトはあっという間にスペインに順応したね。出来るだけ長くこのチームでプレイ出来るよう願ってるよ。だってあの年で、アレだけのプレイが出来る選手はヨーロッパでもそういないからね。トシャックは素晴らしい選手をクラブに連れてきたと思うよ」

-3シーズンをラ・レアルで過ごす間に、5人の監督が就任しました。クレメンテ、アロンソ、トシャック、オラーベ、そしてドゥヌエ。最後のフランス人監督の時期以外はプレイできたわけですね。
「そうだよ。ドゥヌエと他の監督との違いは、彼の元ではあまり試合で使ってもらえなかったってこと。監督としての彼の仕事は尊敬してるよ。プロとして、僕を起用しないという彼の方針も尊重してる。ただ、それは嬉しいことではないよ。だから、今、移籍に向けて自分がとても前向きな気持ちでいるのは自然のことだと思う。タイフンという選手に、期待を寄せてくれているチームにいくんだからね」

-新しいチームに加わることを楽しみにしているんですね。
「去年、僕がどんな年を過ごしたかを考えれば当然だよ。スペインに残ることを決めたのは、この国での生活がどんなものが判っていたことが大きいね。バルセロナでも上手くいくよう願ってるよ。トルコからもいい条件の話が提示されてはいた。だけど、家族と話し合い、全てを考慮に入れ、この国に残るのが自分のためにはベストだと思ったんだ。トルコへ戻る道は閉ざされてはいないからね。今したいことは、サッカー選手としての自分の能力を示すことだ。それを一番の目標に、プレシーズンから努力していくよ」

-…。
「それはこういう意味だよ。僕達、サッカー選手って言うのは、非常に幸運な人種なんだ。サッカーという仕事は、多くの人にとっては娯楽の範疇に属することだ。さらに、僕達は高額なお金を稼ぎ、試合の結果が世間に大きな影響を及ぼす。ある意味、僕達は特権的な人間であると思う。だから、現役でいる間は、その期間を有意義に使わないといけないんだ。よく考えて行動し、常にベストの体調を維持する。他の人はどうか判らないけど、少なくとも、僕はそうすべきだと思ってる。何千何万という人たちが、僕達のような暮らしをしたいと思ってるんだ。彼らにとって僕達の生活は夢なんだ。だから、僕はラ・レアルを去ることについて文句は言いたくない。今、僕が声を大にして言いたいのは、僕はレアル・ソシエダで過ごした日々を絶対忘れないだろうってことだよ」

-さて、あとは日曜日、貴方にとってのお別れ試合で、ラ・レアルがチャンピオンになれるかどうかですね。
「その通り。そうなれば一番嬉しいんだけど。試合に出れればもちろん嬉しい。でももっと大事なのは、ラ・レアルがリーグ優勝出来るかどうかだよ。優勝できれば最高の形でお別れが出来るんだけど。さっきも言ったけど、自力優勝の可能性はなくなったんだから、まずは自分達の試合を勝たないとね。ラ・レアルの皆とハッピーエンドを迎えられたらいいね!」
diarovasco.com
2003-06-27
「Eskerrik asko」
今は短い言葉で、皆さんにお別れを言うことしか出来ません。
皆と共に過ごした日々は夢のようでした。
僕はここで多くの人と知り合い、美しい町、素晴らしいクラブと出会った。
ドノスティアに着いたその日から、僕は自分の家にいるような気持ちで毎日を過ごすことが出来ました。特に、ドノスティアでの最後の数日間のことを僕は一生忘れることはないでしょう。
僕は自分がずっとラ・レアルで過ごし、皆さんと共に暮らしていたような気がします。皆のおかげです。ドノスティア、ギプスコア、ラ・レアルは僕の一部なのだと思います。
僕のことを心から受け入れてくれてありがとう。
これから、僕は新しいチームで新しい選手生活を始めるけれど、ラ・レアルは今後ずっと僕にとって特別なチームです。
ラ・レアルに入団するため、トルコを出発したとき、僕は想像もしていなかった。初めて訪れる国のチームや町やサポーターたちが、僕にとってこんなにも愛しい存在になるなんて。
心の底からありがとう。いつまでも忘れません。
Eskerrik asko(Thank you). Hurrengorarte(See you again).
Tayfun Korkut

realsociedad.com
「またドノスティアに戻ってくるよ!
選手としてじゃなくてもいい。
僕はこの町で暮らしたいんだ!」
2003/06/23

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